2024年、佐藤史生YEARです!(+α)
こんにちは。図書の家です。2024年は、突然ですが「佐藤史生YEAR」でございます!
えっなぜ今突然、佐藤史生先生の新刊2冊や、立て続けに展示までが……とお思いの方は、史生先生をご存じの方ですね? そうなんです。本のお仕事をいただいた図書の家もびっくりだったのですが、2010年に亡くなられてから14年目の今年に、各所で色々と同時多発的な動きが……なんと嬉しいことでしょうか。
『総特集 佐藤史生〜少女マンガが夢見た未来〜』と『夢喰い 佐藤史生短編集』(いずれも河出書房新社)の出版記念展(リベストギャラリー創・5月24日〜6月5日・書籍は会場で先行発売・グッズも販売)を皮切りに、6月3日の書店発売を経て、28日から10月20日までの4ヵ月に渡って明治大学 米沢嘉博記念図書館・現代マンガ図書館にて「佐藤史生原画展 -決して眠らない魚のみる夢-」が今、開催されているはずです(6月上旬記)。
佐藤史生先生は1977年にデビュー。70年代には『別冊少女コミック』、80年代以降は『プチフラワー』『グレープフルーツ』等で活躍した、SFやファンタジーを得意とする少女マンガ家です。今回の本の中でわかったことですが、史生先生があの「大泉」に行ったのは71年2月に萩尾望都先生の「雪の子」を読んで手紙を出したことがきっかけとのこと。その後は萩尾先生や竹宮惠子先生のアシスタントを務めるなどしておられたので、雑誌デビューがかなり遅いですが、1950年生まれなので、実はいわゆる「24年組」の世代です。
萩尾先生の『一度きりの大泉の話』(2021年刊)で初めて「佐藤史生」の名前を知った方もおられるかもしれません。親しかった坂田靖子先生のメールインタビューや、原作を務めた徳永メイ先生のインタビュー、そして、萩尾先生の寄稿4コマ×8ページ(!)などなどを中心とする総特集ですが、作品未読の方でも、彼女の人となりや創作への思いなどを先に知っていただいてから、併載した短編の「雨の竜」や「青猿記」を入り口として読んでいただくのも良いルートなのではと思っております。そして特集本と同時発売の短編集『夢喰い』で、更に深遠な佐藤史生世界に浸っていただけると嬉しいですし、代表作の「夢みる惑星」や「ワン・ゼロ」といった長編や、各シリーズなども電子書籍では気軽に読める2024年ですので、ぜひどんどんお読みいただけたらと思います。
もちろん、昔から史生作品を愛読されておられた方には70年代から80年代にかけての濃密な少女マンガの世界を更に楽しんでいただける特集本になっていると思いますので、ご安心ください(いろんなピースがはまっていくと思います)。
また、この総特集の発売でSNSを騒然とさせたことの1つに森脇真末味先生のご登場があったのですが、マンガ4ページ、そして新作です。お元気で健筆をふるわれておられます。こちらも見どころの一つですので、ぜひともお読みください。
さてプラスアルファな別情報ですが、「図書の家選書」第1期の飛鳥幸子特集の次はどうなったの?と覚えてくださっている奇特な皆さま、第2期の編集制作も進んでおります。こちらはほんっっとうに昭和の偉大な5人の先生方のレアレアな電子書籍です。真夏の発売を予定しており、図書の家のnote(https://note.com/toshonoie_note/)やXでの発売情報も気にしていただけると嬉しいです。貸本巻には『漫画の手帖』でおなじみの想田四さんの特別解説も収録。ぜひお楽しみに……。
また、あの五反田のゲンロンカフェに水野英子先生が登場なさって、図書の家の岸田志野が物語評論家のさやわかさんと一緒に聞き手を務めるという大イベント(ひらめき☆公開講座#1 なぜ水野英子は「少女マンガ」のパイオニアなのか──恋も、歴史も、芸術も)が6月22日に開催・配信予定あり。今回のトークは2部構成で、水野先生ご本人のお話を聞いてから、後半でそれを受けて、気鋭の二人が現代のもろもろに大きな影響を与えている「日本の女性マンガ家の想像力」について考え、語るという仕掛け。画期的に面白い時間になるはず、と昭和少女マンガな図書の家まわりも、ますます盛りだくさんの夏です。ご興味あらば、ぜひぜひ追いかけてのご視聴お待ちしています!
自分は伴侶であるタクマの「一番」なのだというアイデンティティが、タクマの何気ない一言で侵されたときミーナの思いは暴走する。
2024年7月4日発行
2024年7月21日 WebVerUpDate