~令和の御代にアヤしく華開ク、十八禁じゃないSM~
午前0時を過ぎてTV放映される深夜アニメには、深夜らしく、お子ちゃまにはふさわしくないお色気アニメが数多く放送されています。といっても一般の公共電波に乗って放送されているのですから、(法令上、建前的には未成年者は視聴できない、購入するかレンタルするしかない)成年向きの十八禁アニメとは違い、いくつもの制約がかかっています。(勿論皆様ご存知の通り十八禁アニメにもいくつも制約がかかっています) また、そんな十八禁アニメでない普通のアニメでも、放送のワンクール十二回の中には(原作にはなくとも)『お風呂回』『水着回』なるモノが登場し、キャラクターたちがお色気を振りまくのが当たり前になっています。
そういうお色気アニメやお色気回は確かに肌の露出が多く、チチ揺らしたり、オシリ振ったり、マタ開いたりしていてファンサービス(?)してくれますが、制作者側の「ほぉら、オマエら、こんなのが見たいんだろう。ほぅらほぅらほぉら」と見下した雰囲気が漂う作品もあって鼻白む気持ちになったりもします。そもそもすぐに皆様お馴染みの透過光が入って場面を台無しにしたり、ヒドイ物は作品自体を損なったりします。まあ、それらもブルーレイやDVDにして、透過光ナシで販売する時の客引きのためには仕方ないのかもしれません。
しかし、この『魔法少女にあこがれて』はそれらとは完全に一線を画する作品だと言えます。漏れ伝え聞くトコロころによると、この作品の原作者(小野中彰大氏。マンガ自体は『まんがライフ・ストーリアダッシュ』でweb連載中)は御自分のこの作品がTV放映されると聞いた時、「正気か⁉」と言ったそうです。
原作も原作なのですが(笑)、それに色が付き、動き出すと破壊力がハンパないです。小心者の私などは「いつ(TV放映)が打ち切られるんだろう?」「今この瞬間にでもブチ切られるんじゃないか」と冷や冷やワクワクしながら毎回視聴しています。
ジャンルはタイトル通り、魔法少女モノで、魔法少女にあこがれた、どこにでもいる平凡な(?)少女が騙されて悪の女幹部になってしまい、アレコレするというストーリーになっています。コレではこの作品の魅力が伝わらないのでもうちょっと詳しく説明させてもらいます。
世界征服を目論む悪の組織エノルミータと戦う魔法少女トレスマジアがいる町に住んでいる柊〈ひいらぎ〉うてなは、可愛くてカッコいい素敵な変身ヒロインに憧れる陰キャラです。そんな彼女が「私もあんなふうになれたらなあ」とつぶやいていると、魔法少女(物語・世界)に付き物のマスコットキャラ(に良く似た)ヴェナリータが現れ、「変身してみるかい?」とささやきます。戸惑ううてなに「キミには選ばれし力がある」と言って、うてなを強制的に変身させます。変身させられた自らの姿をかえり見てうてなはあわてます。なぜなら胸は大きな黒いバッテンで隠されているだけ、黒いゆるゆるのコルセットの背中から延びる小さな翅〈はね〉はコウモリのようで、下半身は真っ黒なローライズのロングパンツ。極めて露出の多い黒づくめの衣装で、どこからどう見ても、レースやフリル・リボンがいっぱい付いたふわふわした可愛い装いをして戦う正義のヒロイン魔法少女とかけ離れているからです。それをヴェナリータに問うと「そりゃあそうだよ、キミは悪の組織の女幹部になったんだよ」と軽くのたまいます。強く抗弁することもできない引っ込み思案のうてなは「それじゃあ、やめます」と言いますが、ヴェナリータが許すはずもなく、「そんなコトを言うと変身シーン(当然一度全裸になるます)をSNSにあげちゃうよ」と脅します♡
やむなく、ヴェナリータから渡された戦闘用魔法具・支配の鞭〈フルスタ・ドミネイト〉を手に、魔法少女チーム・トレスマジアと悪の組織のマジアベーゼとして戦う羽目になってしまいます。そして初回では、支配の鞭〈フルスタ・ドミネイト〉を使って植物から変身巨大化させた触手を使ってトレスマジア3人を縛り上げたトコロ、その悶え苦しむ様子を見て妙な気分になってしまい♡ ヴェナリータに勧められる(そそのかされる、しかし決して脅してではナイ)ままに可憐な魔法少女たちのお尻を鞭で打ちシバいちゃうのです♡ 憧れと敬愛の対象であった魔法少女たちが痛がる様子を見ているマジアベーゼことうてなの胸にはいまだかってない高揚感とトキメキが芽生えてきます。そうです。ヴェナリータがうてなに見つけた〝選ばれし力〟とはサディストの素質だったのです♡
こうして心ならずも(?)魔法少女たちと戦うコトになったうてなは魔法少女たちとの苛烈(笑)な戦闘で様々な(エキセントリックなまでにマニアックな)SMプレイ(‼)を繰り広げ、真正のサディスチンとして成長(⁉)していくようになるという少女の成長物語を描いたのが本作のあらすじです(……間違っているかもしれません) その過程でうてなは仲間(残念ながら彼女たちにはSM心は希薄です)を加えてゆき、悪の組織で下剋上を果たしたりして、のし上がってゆき、どこに出しても恥ずかしくない、恥ずかしい格好をした立派な悪の女幹部になっていくのし上がり物語でもあります(……やっぱり間違っているかもしれません)
そしてうてなことマジアベーゼと戦い、うてなのSMプレイの餌食になってイジめられている側の正義のヒロイン魔法少女たちの中にも不思議な感情が芽生えてきます。それはサディズムの対極にあるマゾヒズムの快感なのでした♡
この『まほあこ』登場するSMプレイが非常にマニアックで、その手の数寄者(もちろん私もソコに入っています♡)にはたまりません。私などは毎回画面前でのたうっていたり、唸っていたりしてます。原作者である小野中センセイはSMが何であるかを良ッくわかっておられ、アニメ版『まほあこ』の製作スタッフもそのあたりのツボ・機微を非常によく理解されていると感心しています。
とりわけ凄かったのは何と言っても第六回『誕生トレスマジア』でしょう。なんとこの回では幼児(赤ちゃん)プレイが登場します。SMプレイではM側の人間をイヌやブタ、乳牛などに見立ててペット化・家畜化して主従関係や隷属の絆を確認し、強固にする方法がありますが、この幼児プレイは極めて特殊でマニアックです。羞恥心の最も強い年頃の少女、しかも悪の組織と戦う力を持った正義の魔法少女が全く無力な幼児に退行(変化)させられて、おしゃぶりを咥えさせられ、よだれかけをつけられ、オムツをはかされて縦格子のあるベビーベッドに寝かしつけられた挙句、そのオムツも剥ぎ取られて××××させられてしまいます。このシーンを観た時、正直「来週(次回)放送されるんだろうか?」「後は後日発売されるDVDもしくはブルーレイでお楽しみください」とか言われるじゃないのかと、戦々恐々としました。
そんな私の心配をよそに次の第七回『逆境アズール』はすんなりと放映されました。この頃になりますと、うてなことマジアベーゼは魔法少女マジアアズールをあっさりと捕まえて責めるようになってしまっていて、そのことを自覚したアズールは一念発起し、決意もあらたにうてなと対決するのですが、これまで以上にあっさりと捕まってしまい(笑)、服をハサミでビリビリに引き裂かれ、ボールギャグを咥えさせられて三角木馬に乗せられてします。しかもその三角木馬というのが公園や遊園地で子供が乗る遊具として置かれている動物(パンダ)を模した遊具になっていまして、シーソーみたいにぎっこんばったんできる仕掛けになっているのです♡ パンダに似せた三角木馬責めにあったアズールはさんざんぎっこんばったんさせられて木馬から落ちてしまいます。もんどりうって倒れ込むアズールの顎をうてなはヒールの高い黒いロングブーツの爪先に乗せて上げ、「まだ終わりではないでしょう。わたし まだまだまだまだ満足していませんよ」と妖しく告げます。するとアズールはハート目アヘ顔で「ベーゼ……様……」とうてなのロングブーツを捧げ持ち、自らの敗北を認め、さらなる責めを求めて、ロングブーツに口づけしようとするのです。
そんなアズールをうてなことマジアベーゼは邪険に払いのけ、「どうして?」とすがるアズールに対してうてなは氷のように冷たい眼で見降ろしながら「へらへらするんじゃありません」「もしかして あなた 闇堕ちしようとしかけていますか」となじり、「正義のヒロイン・トレスマジア 全ての女の子の憧れ そのあなたが悪の組織に媚びへつらう?」と叱り、「いけませんいけませんいけませんいけませんいけません」と否定し、「解釈違いにも程がある」と間違いを正すのです‼ そして「ヒロインとしての矜持を持ちなさい」と説教を垂れるのです。
いや、本当にスゴイ展開です。従来の普通のよくある展開であれば(=私であれば)、正義のヒロインをあっさりと闇堕ちさせてあんなコトやこんなコト、例えば悪の組織に迎え入れて、下っ端戦闘員のように扱い、使い捨ての駒として元の仲間である魔法少女たちと闘わせたりするのですが、原作者の小野中センセイやアニメスタッフのサディスティックさには脱帽します。そして私の至らなさに恥じ入るばかりです。「私などまだまだだなあ」と改めてSM道の奥深さに思いを馳せ、さらなる精進を誓うばかりです(汗)
しかも、アズールを陥落させかけながらも、正気に戻ったうてなは魔法少女たちへの憧れをより一層熱く推しの気持ちを強くし、魔法少女グッズを買い漁り、折りに触れて魔法少女への愛を熱く語ります。
最終回前の第十二回(タイトルはネタばれになるので出しません)では、魔法少女の一人を巨大化させちゃいますと、まず一般人に下から覗かせてひらひらスカートの中をスマホで撮影させて充分に恥ずかしがらせてから、怪獣と闘わせるという、なかなか手の込んだ造りになっています。これでは終始下から覗かれるのを意識しながら、あたりのビルをなるべく壊さないように怪獣と闘うという羞恥プレイを演じさせます。
しかもそれだけでなく、うてなたち悪の女幹部たちが巨大化した魔法少女の中にもぐりこんでくすぐり回し、残った魔法少女たちがうてなの目論見を阻止すべく、仲間の巨大化した魔法少女の服の中に潜り込んでくんずほぐれずの闘いを繰り広げ、巨大化した魔法少女を困らせ、悶えさせまくってしまいには、下着を壊す=脱がしてしまうという飛んでもなくマニアックな展開を見せます。
こういうSM作品は過去を見渡してもほとんど無い(勿論私の読書歴に基づくモノですが)、あるにはありました。小人島に流れ着いた妙齢の美女が大勢の小人たち(勿論男性)に拘束され、イタズラをされるという作品なのですが、小野中センセイは、そんなコトをどうやって知ったんですかねぇ。まだお若いハズですし、何かで知ったとしたら、とんでもない知識の広さですね。それとも『シン・ウルトラマン』でも観て思いついたのでしょうか? いずれにせよ、小野中センセイのSMマインドと発想力には敬服します。
そして迎えた最終回は水着回でした(爆) しかもかの葛飾北斎も描いた巨大タコと魔法少女たち&悪の組織の女幹部たちとのカラミが賑々しく華々しく行われます。
そんな中で、紹介した七回で闇落ちしかけたアズールが巫女姿にバージョンアップして登場し、うてなことマジアベーゼと対峙します。そしてマジアベーゼの全力攻撃を〝わざと〟受け止め、豊かな胸の裡で「私が強くなったのは、この強力な愛を受け止めるため♡」と喜悦欲情し、「愛は受け止めるだけじゃダメなの。返さなくては♡」とうてな達を攻撃し、悪の女幹部たちを懲らしめ、うてなは悪者の捨て台詞を残して退散するのです(笑)
完全に引いて終わっていますので続編を熱望します。
2024年5月15日発行
2024年5月29日 Web版UpDate